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2018-12-11 10:46:37
法律

他人名義での車検手続きや効率のよい名義変更の方法を解説

「親が車を新調したので乗っていた車をもらった」「友人の車を安く譲ってもらった」「オークションで車を買った」など、個人間での車の譲渡や売買は意外と多いものです。

オーナーが車を手放すタイミングとして最も多いのは「車検が切れる前」。そのため、譲渡や売買の直後に車検証の所有者と実際の所有者が異なる状況で、新しいオーナーが車検を通さなければならないケースも少なくありません。

そこで今回は、車検を他人名義で受ける際の手続きや、名義変更をしないことによるデメリット、さらに車検と名義変更を同時に行う方法について解説します。

他人名義の車でも特別な手続きは必要ない

車検は本来、ユーザーが自分で車を整備し陸運支局に車を持ち込んで受けるもの。この方法は「ユーザー車検」と呼ばれ、現在は自動車の所有者のうち10~20%が行っていると言われています。

一方で、現在車検の方法として最も一般的なのは、ユーザーがディーラーや整備工場などの業者に依頼をして行う方法です。こちらの場合も最終的にはユーザー車検と同じように陸運支局や指定工場で車検を行うため、自分で車検を行っているのではなく、車検を代行してもらっていることになります。

つまり、家族内で車を譲渡する場合や、仕事が忙しく手続きをする余裕がない場合など理由は様々ですが、名義変更をせずに車の所有者の代理人として車検を受けることに、何ら問題はないのです。 そのため、他人名義の車で車検を受ける際でも特別な手続きは必要なく、基本的には以下の書類を準備することになります。

《車検を受ける際に必要な基本書類》

自動車検査証(車検証)

紛失した場合は現在のナンバーを管轄している運輸支局にて再発行の手続きを行う必要があります

自動車納税証明書

車の所有者が自動車税を納付することで得られる証明書です。紛失した場合は陸運局もしくは自動車税管理事務所、都道府県の税事務所で再発行が可能です

自賠責保険証

車の所有者が必ず加入しています。紛失した場合は加入している保険会社から再発行を受ける必要があります 印鑑 認印で問題ありません

また、他人名義の車であっても、代理人がユーザー車検をすることも可能です。その場合は、上記に加え「自動車検査票」「自動車重量税納付書」「継続検査申請書」が車検当日に必要になります。

一定の項目に該当する場合は「委任状」「身分証明書」「印鑑」が必要

上述のとおり、他人名義の車で車検を受けることに問題はありませんが、次の項目に該当する場合は、車検に必要な基本書類に加えて、「委任状」「身分証明書」「印鑑」の3つが別途必要となります。

《委任状が必要となる項目》

  • 改造により車の用途やサイズ、重量に変更が生じた場合
  • 破損などでナンバープレートに変更があった場合
  • 車検証が紛失し、第三者が再発行手続きを行う場合

《代理人に必要な書類》

車の所有者の委任状 車検証に記載されている自動車登録番号または車体番号、「受任者」の住所・氏名、「委任者」の住所・氏名・印鑑証明書と同一の実印の押印が必要です。インターネット上で簡単にダウンロードできます 代理人の身分証明書 運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなど 代理人の印鑑 認印で問題ありません(車検証の紛失の場合は実印が必要)

名義変更を行わないことによる3つのデメリット

法律では、他人名義の車を譲渡または購入した場合、譲渡や購入したその日から15日以内に名義変更を行わなければならないと定められています。ですが、15日を過ぎたからといって必ず罰則や反則金が発生するわけではないため、実際には名義変更をしていないドライバーも少なくありません。 しかし、名義変更を行わない場合には次のようなデメリットがありますので、名義変更は必ず行いましょう。

1. 自動車税納付書が前の所有者に届いてしまう

車の所有者は年に一度自動車税(軽自動車税)を納めなければいけませんが、名義変更をしていない場合、その自動車税納付書は前の所有者のもとに届いてしまいます。そして自動車税を滞納した場合、延滞料が発生するだけでなく、車検や廃車、譲渡などもできません。

2. 違反や事故を起こした際に前の所有者とのトラブルにつながる

現行犯ではない交通違反を起こした場合、警察は車のナンバーから違反者を特定します。そのため、名義変更を行わないと、違反通知は名義人である前の所有者のもとに届いてしまうのです。また、大きな交通事故を起こしてしまった場合も慰謝料が前の所有者に請求され、トラブルにつながってしまいます。

3. 自分が所有者であることを証明できず車の売却や下取りができない

事実上は自分がその車の所有者であっても、名義変更をしていない場合は自分が所有者であることを証明できません。そのため、車を売却したり下取りに出したいと思っても権利は名義人にあり、売却したり下取りに出したりすることはできないのです。

車検と名義変更を同じタイミングで行う方法

名義変更の手続きは運輸支局で受け付けているため、車検と同じタイミングで名義変更を行うと非常に効率的です。以下ではその手順と、名義変更に必要な書類についてご紹介します。

手順は車検の期限が切れているかどうかで変わる!

車検と名義変更を同じタイミングで行う場合、車検の期限が切れていないかどうかで手順が変わってきます。 車検の期限が切れている場合は車検を先に受け、その後名義変更手続きを行います。

一方、車検の期限が残っている場合は、先に名義変更手続きを行っても、先に車検を更新しても、その順序はどちらでも構いません。ただ、他人名義で車検を受けることに抵抗があり、名義変更手続きを先に行うという方のほうが多いようです。

名義変更に必要な書類には旧所有者が準備するものもある

車検と同じタイミングで名義変更を行う場合は、上述の車検に必要な基本書類に加えて以下の書類が必要となります。

《名義変更に必要な書類》

必要書類書類の条件業者に依頼する場合ユーザー車検の場合
旧所有者の印鑑証明書発行より3ヵ月以内のもの
新所有者の印鑑証明書発行より3ヵ月以内のもの
名義変更申請書陸運局で当日入手可能
車庫証明書発行より1ヵ月以内のもの。新使用者が準備したもの
譲渡証明書発行より3ヵ月以内のもの。旧所有者の実印を押印したもの
旧所有者の委任状旧所有者の実印を押印したもの
新所有者の委任状新所有者の実印を押印したもの
新所有者の印鑑実印のみ
手数料納付書陸運局で当日入手可能
自動車税・自動車取得税申告書陸運局隣接の税事務所で当日入手可能

このように、手続きをするためにはあらかじめ旧所有者の印鑑証明書や委任状、譲渡証明書といった書類を旧所有者に準備してもらう必要があります。そのため、手続きそのものよりも、書類の準備の方が大変かもしれません。また、車庫証明などは期限も決められているため、スピーディーに準備を進めたいところです。

名義変更は車検と同じタイミングに行うと効率的

今回ご紹介したとおり、他人名義の車であっても車検を受けることは可能です。しかし、様々なリスクを回避するために、譲渡や売買の後は早急に名義変更することをおすすめします。

また、名義変更の手続きは運輸支局で行うため、車検と同じタイミングで行うと効率的です。もちろん自分で手続きをすることも可能ですが、業者に依頼することでより安心かつスムーズに、そして楽に手続きを完了させられるでしょう。

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