引っ越しをして住所が変更になった場合、運転免許証の住所変更は行っても、車検証の住所変更はつい後回しになりがち…。しかし、法律では、車の所有者の住所が変更になった場合は車検証の住所変更手続きをする必要があると定められています。(道路運送車両法第12条1項)
では、車検証の住所変更手続きは、いつ、どこで、どのように行えばよいのでしょうか。ここではそんな車検証の住所変更手続きについて詳しく解説します。
15日以内という法律上の期限を過ぎたとしても住所変更は必ずすべき
前述のとおり、法律では車の所有者の住所が変更になった場合は車検証の住所変更手続きをしなければならないと定められています。ここで言う法律とは道路運送車両法のことで、これによると、住所変更の手続きは住所が変わった日から15日以内に行うこととなっています。[注1]
さらに、違反した場合は10万円以下の罰金となる可能性もあります。ですが、実際に罰金となるケースはほとんどなく、住所変更の必要があることも知らず、車検証の住所をそのままにしている所有者が多いというのが現状です。
しかし、車検証の住所変更をしないままでいると、法律違反というだけでなく、年に一度届く自動車税納付書が前の住所に届いてしまう、車を手放す時に車検証の住所と現住所の違いについて証明する必要が出てくる、などのデメリットもあります。 そのため、仮に新しい住所になってから15日が経過してしまったとしても、車検証の住所変更は必ずしておくべきなのです。
[注1] 参考元:第十二条(変更登録)/道路運送車両法 http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=326AC0000000185#75
車検証の住所変更は新住所の陸運局(地方運輸局)に申請する
車検証の住所変更手続きは「新住所」の陸運局(軽自動車の場合は軽自動車検査協会)で行いますが、この時注意したいのが陸運局の管轄区域です。
例えば、品川区から目黒区に引っ越すような場合はどちらの住所も品川ナンバーの管轄区域内のため、手続きとしては品川陸運局に必要書類を提出するのみとなります。しかし、品川区から練馬区に引っ越す場合は、練馬ナンバーに変更する必要があるため、品川ナンバーを管轄区域とする練馬陸運局に車を持ち込んで手続きをしなければならないのです。
転居先が県外など、明らかにナンバーが変わる場合は車を持ち込むものと理解しておいて問題ありませんが、転居先が近距離の場合は、あらかじめ車を持ち込む必要があるのかを確認しておく必要があるでしょう。 ちなみに、住所変更をした際には、希望ナンバーや図柄ナンバーに変更することも可能です。
所有者本人が陸運局で住所変更の手続きをする場合
ここからは、所有者本人が住所変更の手続きをする場合の必要書類と、陸運局での手続きの流れについてみていきましょう。月末などは陸運局が混雑し待ち時間が長くなることもあるため、できるだけ時間に余裕のある日に手続きを行うことをおすすめします。
所有者本人が手続きをする場合の必要書類は7つ
所有者本人が手続きをする際に必要な書類は以下の7つです。 所有者に代わって代理人が手続きを行う場合は以下に加え委任状が必要となります。
- 自動車検査証(車検証) 原本
- 住民票 発行日より3ヵ月以内のもので、マイナンバーが記載されていないもの。コピー可
- 車庫証明 管轄の警察署より証明を受けたもので、発行日より1ヵ月以内のもの
- 申請書 当日入手できるが、インターネットでの事前入手も可能
- 手数料納付書 自動車検査登録印紙を添付したもの
- 自動車税・自動車取得税申告書 陸運局隣接の税事務所で当日入手可能
- 印鑑 認印でも可
陸運局での住所変更手続きの流れ
陸運局では、当日次のような流れで住所変更が行われます。 なお、住所変更の手続きは車検業者でも行うことができますが、その場合も手続きの流れは同じです。
- 書類の記入 申請書、手数料納付書、自動車税・自動車取得税申告書に必要事項を記入します
- 印紙の購入 住所変更の登録手数料350円分の印紙を印紙販売窓口にて購入し、手数料納付書に添付します
- 書類の提出 必要書類を全て提出します
- 新しい車検証の交付 提出書類に不備がなければ新しい車検証が交付されます
- 変更内容の申告 陸運局隣接の税事務所に自動車税・自動車取得税申告書と新しい車検証を提出し、住所変更の申告をします
- ナンバープレートの変更と封印 新しいナンバープレートの購入と取り替えを行い、最後に車検証の記載内容や自動車が同一のものであるかの確認が取れたら封印をして完了です
手順5は、新住所に自動車税の納税通知書が送付されるようにするためのものです。また、手順6のナンバープレートの取り外し、取り付けは手続きをした本人が行います。ドライバーやナンバーの取り外し方法については窓口に案内があるため、初めての方でも心配はないでしょう。
車検のタイミングで住所変更の手続きを車検業者に依頼するケースもある
車検証の住所変更の手続きは、法律では住所を変更した日の15日以内と定められていますが、上述のとおり実際には厳密に取り締まりがされているわけではありません。そのため、費用は発生しますが、煩わしい手続きが一度に済むというメリットから、車検のタイミングで車検業者に住所変更の手続きも依頼するという人もいるようです。
ちなみに、住所変更の手続きを車検業者に依頼する場合は、上述の必要書類に加えて委任状が必要です。委任状は、使用者と所有者が同じの場合は1枚、使用者と所有者が異なる場合はそれぞれ1枚ずつ必要となります。
車検証の住所変更にかかる費用は3,000円~5,000円程度
車検証の住所変更にかかる費用の内訳は、目安として次のようになります。
変更登録手数料 350円 車庫証明書の取得手数料 2,500円~3,000円程度 ナンバープレート代 1,500円程度
車庫証明書の取得手数料とナンバープレート代については都道府県や地域により若干の差がありますが、ナンバープレートに変更がない場合を含めると、住所変更にかかる費用は3,000円〜5,000円程度でしょう。もちろん、業者に住所変更を依頼する場合はその分の費用もかかります。
さらに、ナンバープレートを希望ナンバーや図柄ナンバーにする場合は、ナンバープレート代が3,900円~9,200円程度になりますので、費用はこれより高くなります。
様々なリスクを回避するために遅くとも車検時には住所変更を!
引っ越し後の慌ただしい時間が流れる中で、手間も費用もかかる車検証の住所変更は煩わしいものです。特に、1年単位などの転勤が多い方にとって、その都度住所変更をすることは無駄に感じてしまうかもしれません。
しかし、自動車税の滞納や法律違反といった様々なリスクを回避するためにも、住所が変わった場合は遅くとも車検時には手続きを行うようにしましょう。また、自動車税の納付通知書の発送に間に合うようにするためには、3月中に手続きを完了しておきたいところです。 不慣れな土地も新しいナンバープレートに変えるだけでぐっと距離が近づくはずですよ!